MIKONE's Shiitake

歴史ある集落
椎茸の一大産地、大槌町金沢

岩手県大槌町の金沢集落は三陸の沿岸部から15kmほどの山あいにある小さな集落です。「金沢」の名の通り、奥州藤原氏による平泉の黄金文化にも使われたと言われる砂金の産地として知られました。

周囲を山に囲まれ、山々からはいくつもの小さな川が流れ出しています。春になれば、豊富な雪融け水を三陸の海に注ぎます。古くから農林業が盛んな土地柄で、兼沢家も山や畑を持ち、一次産業を生業としてきました。なかでも父の代になったころからは原木椎茸の生産がさかんになり、金澤は椎茸の産地として知られるようになりました。

原木栽培の椎茸は力強く肉厚で風味豊かに育つ

冷たい沢水がつくり出す
金沢の肉厚椎茸

スーパーなどの店頭に並ぶ椎茸には「原木椎茸」「菌床椎茸」の2種類があるのをご存じでしょうか。

山から伐り出した原木に椎茸の菌を打ち込み自然栽培する原木椎茸は、人工栽培の菌床椎茸を上回る旨味と香りがあり、栄養価も高いと言われています。

原木椎茸は、広葉樹のほだ木に直径8mmほどの穴を開け、そこに椎茸の菌を打ち込み、栽培するものです。MIKONEでは、岩手県産のコナラをほだ木に使っています。前年秋に伐採した木を乾燥させ、翌年の冬の終わりごろに菌を打ち込みます。

そこから大切なのは温度と湿度の管理です。 しばらくは温度を一定に保つためにビニールハウス内で作業。ほだ木は毎日必ず、水に浸して湿度を維持します。ここで生きてくるのが、脇を流れる沢水です。肉厚でジューシーな椎茸になる秘密は、この冷たい沢水だとも言われています。

近くの沢から自然に流れ込み水が溢れる貯水槽
この豊かな水がMIKONEの椎茸を育む

黒色のビニール紐を並べて垂らし、椎茸の生育環境に近い森の木洩れ日を再現する

原木ならではの旨味と食感
シンプルな調理法で食卓に

そして、植菌から1年たったころからいよいよ収穫です。MIKONEでは「巻きが強い」と表現される、笠が内側にギュッと入って締まった椎茸を目指しています。大きさに関わらず、笠を見て頃合いを見計らって収穫します。

ジューシーで食べ応えのある椎茸づくりのために、私たちが何よりもこだわっているのは収穫時期。「今だ!」というタイミングを逃すことなく収穫、出荷しています。

生でも乾燥でも味わっていただける原木椎茸。「干し椎茸こそ原木椎茸のおいしさが分かる」という方もいます。MIKONEの干し椎茸は、40度から少しずつ温度を上げながら約12時間かけて仕上げています。

原木ならではの味の濃い椎茸は、お煮しめなどシンプルにお楽しみください。

使用済みの柵木は燃やされ温室の熱源となる
原木椎茸の栽培は循環する自然の営みの中で行われる